中国で商品を仕入れたり、オリジナル商品をOEMで作ったりするときに、かなり重要なのが「工場選び」です。
「アリババには工場がたくさんあるけど、どこを選べばいい?」
「価格が安い工場を選んでも大丈夫?」
「中国工場の品質はどうやって判断する?」
初めて中国から仕入れる場合、このあたりが一番不安だと思います。
僕自身、中国での商品開発や工場探しを長く行ってきました。
その中では良い工場にもたくさん出会いましたが、「この工場はやめておいた方がいいな……」と感じた工場もあります。
実際、やり取りがうまくいかず担当者を変更してもらったこともありますし、日本側からの要求が細かすぎるという理由なのか、途中から連絡が来なくなった工場もありました。
中国工場を探すときは、価格だけでは分からない事が本当に多いです。
この記事では、僕が実際に工場と取引してきた経験をもとに、アリババで失敗しない工場の見極め方を解説していきます。
■先に結論をまとめます
- アリババで工場を探す流れは、検索 → 工場の判断 → 問い合わせ → サンプル → 量産の5ステップ
- 工場の判断は、設立年・社員数・ISO・取引先の国と、「工場か商社か」を見る
- 価格だけで決めずに、やり取りの対応とサンプルの品質で判断する
- サンプルが良くても、量産でも同じ品質とは限らないので、基準品を保管しておく
- 「最安値の工場」ではなく、一緒に長く商品を作れる工場を探す
アリババには大きく2つある
中国の商品や工場を探すときによく使われるのが、Alibaba.comと1688.comです。
■Alibaba.com(英語版) 海外のバイヤー向けのB2Bサイトです。英語でやり取りが出来る工場が検索結果に出てきます。大きい工場が多く、ロット数も大きめのところが比較的多いです。
■1688.com(中国版の阿里巴巴) 中国国内向けのB2Bサイトです。やり取りは基本的に中国語になるので、ハードルは少し高いです。なので、まずは英語版のAlibaba.comを使う事をオススメします。
中国から商品を仕入れる方法そのものについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>【2026年最新】タオバオ・アリババから仕入れる3つの方法|代行・外注・自力を比較
※今回は分かりやすいように、英語版(Alibaba.com)で説明します。中国語版を使う場合は、中国語のスタッフや通訳にお願いして工場探しをした方がいいです。
アリババで工場を探す5つのステップ
アリババでの具体的な流れは、下記の5ステップです。
①キーワードを入れて検索
②優良工場かどうか判断する
③工場が良さそうであれば、問い合わせを行う
④サンプルを日本に送ってもらう
⑤サンプルに問題がなければ、量産に進む
細かい注意点もあるので、順番に解説していきます。
①キーワードを入れて検索
まずはアリババのサイトを開いてみて下さい。そして、自分の欲しい商品名をGoogle翻訳などを使って英語にして、検索します。
今回は「iphone case(iPhone 携帯カバー)」を例に検索してみました。
商品名をキーワード検索すると、その商品を扱っている工場の一覧が出てきます。気になる商品をクリックしてみて下さい。
②優良工場かどうか判断する
次に、その商品を扱っている工場がどんな工場かを調べます。対応が悪かったり、変な工場に当たると本当に時間もお金も損をするので、ここは慎重に見て下さい。
商品をクリックしたら「商品」情報の下に「ストアレビュー」という項目があります。
このストアレビューに悪い評価ばかり並んでいたらかなり危険です。
ひとまずストアレビューが問題なければ、その下に「このサプライヤーについて」という項目があります。
そこの「会社プロフィール」をクリックしてください。
①企業創設年(輸出年数)
②社員数
③主要な市場(取引先の国)
1.企業創設年(輸出年数)
Alibabaに掲載されている工場がいつ設立されたかを、まずは見て下さい。設立から長い間運営している工場は、ひとつの目安として信頼しやすいです。
悪い商品ばかり作っていてお客さんがいなければ、工場はすぐに潰れてしまいます。なので、同じ商品を作っている工場が多数ある場合は、創立から長い工場を選ぶのがオススメです。
上記の工場の場合、輸出年数は14年なので安心できる工場と言えると思います。
2.社員数
社員数を見れば、その工場の規模が分かります。大きい工場の方が大量生産に向いていて、小さい工場だと小ロットでも対応してくれる所が多い感じです。
- 100人以上:大きい工場
- 50〜100人未満:中小工場
- 50人未満:小さい工場
イメージとして、大体このような感じで見てみて下さい。
今回の事例では55人。これも安心材料と言えますね。
3.主要な市場
取引先の国も、非常に大事なチェック項目のひとつです。
取引先に先進国が多い場合は良いのですが、中国国内向けやアフリカ向けがほぼ大半を占めている場合は、品質基準が日本と違う可能性があるので注意した方がいいです。
今回の場合で言えば、北アメリカ(カナダや北米)ということになるので、品質的には問題無さそうですが、出来れば問い合わせの段階で、日本にも出荷経験があるかどうか、必ず聞いておいた方がいいです。
4.「工場」か「商社(貿易会社)」か
ここが、実は一番トラブルになりやすい所です。アリババに出ている会社は、実際に商品を作っている工場だけでなく、仕入れて売っているだけの商社(貿易会社)も多いです。
商社が悪いわけではありませんが、工場だと思って注文したら商社だった、という場合は、価格が割高だったり、品質の問題が起きたときに話が工場まで届かず、揉めたりする事があります。
見分けるときの目安は、下記です。
- 取り扱っている商品が1つのジャンルに絞られているか(「あれもこれも」扱っていると商社の可能性が高いです)
- 会社概要に、工場の設備や生産ラインの写真・動画があるか
- 工場見学(ビデオ通話での案内を含む)をお願いして、対応してくれるか
- 会社の営業許可証に書かれている事業内容が「製造」になっているか
ただ、これで100%見分けることが出来るかと言えばそうでもないので、僕の場合はなるべく問い合わせた工場には行くようにしています。
そこに仲介の人が現れる場合もありますが、話を聞いていたら大体分かるようにはなってきました。
③工場が良さそうであれば、問い合わせを行う
上記のチェック項目を確認して、特に問題なければ、商品ページの横にある「Contact Supplier」のオレンジボタンから問い合わせてみて下さい。
問い合わせで聞いておきたい事
- 日本への出荷経験はあるか
- サンプルの費用と、届くまでの日数
- 最小ロット(MOQ)と、量産の納期
- 支払い条件(いつ、いくら払うか)
- 金型を使う場合は、金型の費用と所有権
ロット数と納期の目安
下記は、僕が以前作って販売していたスマホケースでの目安です。商品や素材、加工方法、工場の生産状況によって、大きく変わります。
| 内容 | 最小ロット | 納期(発送まで) |
|---|---|---|
| 既製品をそのまま仕入れる | 10個〜(工場によっては100個〜) | 約1〜3日 |
| 金型はそのままで素材変更 | 1,000個〜 | 約5〜7日 |
| イチから商品を作る(完全オリジナル) | 3,000個〜 | 約2〜3ヶ月 |
既製品の最小ロットは、どの工場でもあまり変わりません。一方で、素材を変えたりイチから作る場合は、大きい工場ほどロットが大きく、小さい工場ほど融通が利く事が多いです。
金型を使った商品の場合は、サンプルまでに約30〜45日、サンプルが出来てから約15日で納品、という流れで、最短で約2ヶ月です。
実際に取引する時は、サンプルの数量、量産のロット、サンプルの納期、量産の納期、金型を作る期間、繁忙期の納期を、案件ごとに工場へ確認するようにして下さい。
工場とやり取りする時の注意点
注意点①:担当者に話が通じなかったら、担当者を変えてもらう
中国の工場では、英語を話せる担当者は若い方が多かったり、工場のノルマを達成する為に、自分が作りたい商品の話をしても別の商品を勧められたりする事があります。なので、やり取りで疑問点を感じたら、担当者を他の方に変えてもらった方がいいです。
※アリババの工場の中には、日本人からの注文は細かすぎるという事で、音信不通になった工場もありました。「この工場の担当者は…」と思ったら、すぐに担当者を変えるなど対策を取るようにしてみて下さい。
注意点②:指示は明確にする
日本のように、細かい部分まで汲み取ってくれる工場担当者は少ないです。なので、細かい部分は図にまとめて送ってあげるのが大事です。
例えば、ロゴの位置を決める時も「上から何センチ、右から何センチ」と、きちんと図で説明してあげた方がいいです。出来ればロゴのフォントやサイズも指定すると、間違いがより少なくなります。
④サンプルを日本に送ってもらう
Alibabaの工場の品質レベルを確認する為にも、まずは商品のサンプルを日本に送ってもらって下さい。
問い合わせの段階で、例えば材質を変える場合は、材質のサンプルや、その工場で作った事のある別の商品のサンプルも混ぜて送ってもらうと、工場のレベルがより把握しやすくなります。
⑤サンプルが良くても、そのまま大量発注しない
サンプルに問題がなければ、量産へ進みます。ただし、ここでも注意が必要です。
サンプルが完璧でも、量産品が全部同じ品質になるとは限りません。量産は数が増える分、次のようなトラブルが出る事があります。
- 色ブレ
- 寸法の差
- 縫製・加工のバラつき
- 傷や汚れ
- 印刷位置のずれ
- 素材の違い
- 梱包ミス
なので、サンプルを「量産時の基準品」として保管しておいて、量産品と比較できるようにするのがオススメです。必要に応じて、量産中や出荷前に検品も行って下さい。
支払いとトラブルを避ける為に
工場とのやり取りで、品質と同じくらい大事なのが「お金の流れ」です。
- 支払い条件(前金がいくらか、残りはいつ払うか)は、最初に書面(メッセージ)で確認する
- サンプルが確認出来る前に、高額な前払いをしない
- 取引の内容は、口頭ではなくチャットやメールで記録を残す
商標・意匠権にも注意
中国で作る時は、他社のブランドロゴが入った商品や、他社のデザインを真似した商品は作らないようにして下さい。日本で売ると、商標権や意匠権の侵害になる可能性があります。
また、工場が持っている既成のデザインを使って作る場合も、同じ商品が他社にも出回る事があります。(商品を作る前に他社には売らないなどの契約書を結んでおくことも重要です)
独自の商品として売りたい時は、デザインの扱いを工場と事前に確認しておく事をオススメします。
金型を使ってオリジナル商品を作る場合
既製品へロゴを入れるだけでなく、形状からオリジナル商品を作る場合は、金型が必要になる事があります。
金型を使う場合は、通常の仕入れとは違って、次のような確認項目が増えます。
- 金型費用
- サンプル製作と、修正の対応
- 量産のMOQ(最小ロット)
- 金型の所有権と、保管期間
僕自身、中国の金型工場にも実際に足を運んでいます。
費用や期間、工場の様子は、こちらの記事にまとめています。
>>中国で金型製作する費用は?工場選び・製作期間・ロットを実体験で解説
まとめ|中国工場は「会社情報+実際の対応+サンプル」で判断する
中国で長く工場探しや商品開発をしてきましたが、「この条件を満たせば絶対に良い工場」という簡単な判断方法は無いと思っています。
以前から僕が確認してきた、設立年、社員数・工場規模、ISOなどの認証、輸出先・日本向けの製造経験は、今でも工場を絞り込む為の参考になります。
ただ、最終的にはそれだけではなく、次のような点まで見て判断する事が重要です。
- 作りたい商品の製造経験
- 設備・製造能力(工場か商社か)
- 担当者とのコミュニケーション
- こちらの仕様を正確に理解できるか
- 実際に作ったサンプルの品質
- 修正への対応
- 量産時の品質管理
- 問題が起きた時の対応
僕自身、担当者を変えてもらったり、途中で連絡が取れなくなった工場があったり、思っていたものと違うサンプルが届いたりと、いろいろ経験してきました。
逆に、最初は小さな取引だった工場と、長く付き合うようになったケースもあります。
中国工場を探す時は「最安値の工場を探す」というより、「自分の商品を継続して一緒に作れる工場を探す」という考え方の方が、結果的にうまくいきやすいと感じています。
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