そんな疑問に答えます。
この記事を書いている僕は、中国在住9年目、OEM生産を一般の企業から受けて、日本の工場や中国の工場で作ったりしています。そんな現場で感じるOEMについて僕なりの視点でも記載させて頂きます。
細かい部分は後ほど說明させて頂きますが、OEMについてわかりやすく一言で言うと、
OEMとは、商品を自社の工場ではなく、別の工場に依頼して作る事です。つまり、商品の製造を外注に任せている=OEMという認識で大丈夫です。
言い方を変えれば、下請けの工場がOEM先となりますが、下請けという言葉はよくないので、最近では「下請け工場」の事を「OEM先」と呼ばれる事が多いです。
上記で大体意味は分かると思いますが、OEMについてさらに細かい部分を解説していきます。
OEMとは
OEMとは、英語で言うと、「Original Equipment Manufacturer」と書かれて、これの頭文字を取って、OEMと呼ばれています。
日本語で言うと、「相手先(委託者)ブランド名製造」という難しくてよく分からない言葉になりますが、つまりは、相手の工場にて自分の商品を作る、商品の外注化という意味になります。
そうは言ってもよく分からないかもしれないので、OEMの具体例を出して說明していきます。
OEMの具体例
OEMは日本でもかなり前から冷蔵庫や洗濯機などを中心に色々な家電、また生活雑貨など多岐に渡る部分で、OEMが用いられています。
最近では、OEM専門の工場も増えてきており、僕自身もそういったところに自社の商品なども委託して作ってもらっています。
今回は、OEM例として分かりやすい車、化粧品、雑貨で説明していきます。
車
スズキのアルトとマツダのキャロルが非常に分かりやすい例ですが、スズキアルトがOEMされて売られているのが、マツダのキャロルです。(下記の写真はマツダのキャロルです)
この2つの車は、車の基本の骨格はOEMで同じなので全長、全幅は全く同じ長さとなっています。基本は同じにして、タイヤやエンジン、内装が変えられて全く別のメーカーから名前を変えて売り出されているのです。
この時、スズキがマツダのOEM提供会社となります。
家庭を持った今はラパンに乗っている。
正式には「アルトラパン」という。
アルトはキャロルのOEM車。
つまりはキャロルの遠い親戚にあたる車だ。
僕はまたあの小さな車に乗るコトになった。
またあの頃みたいに小さな車でどこまでも行こう。
今度は家族と一緒に。— SGR (@nst_SGR) 2012年12月26日
上記の方の言い回し、「キャロルの遠い親戚」。OEMの本質を指している言葉ですねー。
化粧品
化粧品については僕自身もいくつか手がけていますが、本当に今は簡単に誰もが化粧品を作れる時代になりました。
現在石鹸を作ろうとしていますが、国内のOEM先工場での見積もりは最小50個から。他の工場も多くても200個とか300個で出来そうです。ちなみに、その工場で作っている他社製品見せてもらいましたが、どれも原材料は一緒で、そこに少しの素材を足しだけで製品が出来ちゃうという…スゴイ時代ですね。 pic.twitter.com/C1dQhKP8Lu
— Taku@海外在住8年目 (@wisdom21t) 2018年7月30日
上記でも書いていますが、ほとんどの化粧品は同じ材料を使い、そこにオイルだったり、匂いを付ける香料を混ぜているだけです。
あとは、容器を特別なデザインにしたり、芸能品にイメージキャラクターを依頼することで、その化粧品の価値を高めているのです。
僕自身がやっているOEM事例
雑貨のOEMは僕自身もたくさん作っていますが、下記の画像で分かりやすい例をお伝えさせて頂きます。
形を付ける、色を変える
こちらはスマホのカバーですが、左側の商品をOEM先の工場に依頼して、カード入れを付け足してもらいました。この商品はよく売れたので、その後、黒や赤、青など色々な色に変えて販売しました。
チャックを付け加える
売れ行きの良いバッグのカバンがあったのですが、チャックがひとつしかなく、不便だったので、右図のように、OEM工場でダブルチャックにしてもらいました。
その他にもOEMした物は色々あるのですが、長くなりそうなので、これぐらいにしておきます。
では、次に、OEMのメリット、デメリットについてお話していこうと思います。
OEMのメリット、デメリットについて
OEMのメリットについてですが、これは発注側、受注側、両方にとってメリットが大きいです。
OEMのメリット
発注側のメリット
発注側はOEMにて商品を作る事により、自社で設備を用意しなくても良くなり、それに関わる人件費なども負担を必要としないので、リスクが限りなく低くなります。
例)Appleの商品なども、基本はフォックスコンがすべて製造しており、工場で働く人間の管理などもすべて、フォックスコンの管理下となるので、Appleとしてもそこに余分な人材を入れることなく、自分たちが得意な集中出来る環境作りをしています。
受注側メリット
受注する工場側も、同じ商品を作るのであれば、よりたくさんの材料を一気に仕入れて、作った方がコストも下がり、利益も出しやすくなるので、受注する工場側としてもOEMを受けるメリットは大きいのです。
OEMのデメリット
OEMのデメリットは、A者がOEMを工場に依頼した後に、B社が同じ工場に依頼したら、全く同じ商品が出来る可能性があります。
日本ではモラルの関係で、きちんとどこかを変えて作っている場合が多いのですが、中国では、商品の形、見た目は全く同じでロゴだけが違う。という商品をよく目にします。
なので、OEMを行う際には、日本でも中国でも必ずきちんとした契約書を結んでから、OEMを行う事をオススメします。
いかがでしたでしょうか?
最近はOEMで商品を提供する会社やメーカーが増えていますが、3Dプリンタの普及により、誰でも簡単に商品を作れる時代に突入しています。
今から商品を作る場合でも自社では作らずに、OEMで商品を作る。
この流れは今後どんどん加速していきます。
OEMについてはぜひしっかりと理解して、自分がやる必要のない部分はどんどんOEM化させていくことがオススメです。